2006・10

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2006/10/31 (Tue) 化けるひと
電車の中でお化粧、なんていうのには今さら驚きもしませんが、今日は珍しいものをみました。電車の中で女のひとがバッグをごそごそして取り出したのは、茶色くふわふわとしたモノ。まだ手袋の季節じゃないよね、とおもってみていたら、そのひとはそれを、すぽっと頭に被りました。…カツラですか!いくら電車が地下に入っていて、窓が鏡のようになっているからって、それは無茶だよあなた。まさかハロウィンの仮装ではないよね…。

画像は今朝、床の上に落ちていた虹のかけら。お部屋にプリズムはありませんが、ときどき落ちています。

rainbow_floor
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2006/10/30 (Mon) 「野ブタ。をプロデュース」
「刈るぞっ」
「はいっ!」
 バリカンに三ミリの刃をセットし、スイッチを入れる。右手に振動が走った。目の前には渋ることもなく頭を差し出す野ブタ。なんか野ブタには悪いが笑えてきた。なんでこいつ俺に頭刈られてるんだ?考え出したらどうにも笑えてきて、バリカンもヴゥーンという音を立てて刈る気満々だし、なんかホント笑えてきた。なに、この図。ダメだ。こいつは切実なんだ。真剣に取り組まなければ。俺はそう思いなおして急に真面目な顔になると、やや姿勢を低くして、記念すべき一刈り目の狙いを額に定めた。ついにバリカンが額から投入され、ジジジという音とともに細かい髪が舞い、真っ黒でちょっと脂っぽい塊がぽとっと新聞紙の上に落ちた。おぉ……もう後には引き返せない。
―白岩 玄『野ブタ。をプロデュース』


『ライ麦畑でつかまえて』の登場人物に、ストラドレイターというひとがいます。ホールデン・コールフィールドのルームメイトである彼は、要領良く勉強をこなし、デートへ出かけ、白い歯を見せて笑います。レポートをホールデンに書かせていることも、シェイビングクリームまみれの剃刀ものぞかせず、すっぽりと着ぐるみを被るように、外向きの自分を被って。

『野ブタ。をプロデュース』は、現代日本の着ぐるみのお話。主人公であり語り手でもある桐谷修二は、ともだち付き合いも勉強もそつなくこなし、人気者「桐谷」の着ぐるみを被って退屈な高校生活を送っています。そこに現れたのが転校生、信太=野ブタ。苛めを受ける野ブタに弟子入りを申し出られ、桐谷は考えます。これは自分の着ぐるみをつくる力を試す好機かもしれない。桐谷による、野ブタのプロデュースが始まります。

非現実的な設定にみえて、リアルなストーリーです。プロデュースは今や日常茶飯事。プリクラでの決め顔、カラオケでの勝負歌、合コンのモテ服、面接での自己PR。「自分らしく」「ありのままで」あることよりも、嫌われず争わずそつなく生きるほうが「楽」で「得」であることを、若い世代ほど肌で知っている、そんなリアリティが毎日の中にあります。

新しい動きではありません。むしろ日本古来の”和”の文化への回帰にも見えます。その根底にあるのは、察し、そして甘え。相手の望むことを「察し」、それを履行しておけば、受け入れられるだろうという「甘え」です。それは「お利口にしていればママは可愛がってくれる」と考える子どもの心理と、さしてかわりのないものです。

しかし、察しは自分の推論でしかなく、ほんとうに相手の望むものとは限りません。甘えは自分の期待であり、相手との約束ではありません。だから、桐谷は満たされません。着ぐるみが「成功」すれば周りのひとたちの単純さを笑い、その裏で彼は叫びます―どうして誰もほんとうの僕に気付かないの。「失敗」すれば慌てふためき、その裏で彼は叫びます―どうしてお利口にしたのに愛してくれないの。

桐谷の叫びは、届くことがありません。口に出さないから。相手が「察し」てくれることを期待し、「甘え」ているから。その姿は、根拠のない自己憐憫に溢れています。「ほんとうの僕」を見てほしいなら、着ぐるみを脱げばいい。相手が何を望むかを知りたいなら、聞けばいい。愛してほしいなら、愛してほしいと伝えればいい。着ぐるみを被りたいなら、とことん被ってもいい。どんな着ぐるみを被るのも、着るひとの自由。脱ぐのも自由。ただ、それだけのことなのに。

着ぐるみを着た「桐谷」と「野ブタ」の行く末は、本でどうぞ。

画像は、ありのままの私を見てくれるともだちがくれた中国茶。キレイに咲きそうなお茶だったので、キメキメショットを目指しました。いかがでしょうか、オーディエンスの皆さま?

chinesetea.JPG

2006/10/29 (Sun) 雫のなかに
オンシジュームの花瓶に水を差したら、花びらから雫がさがりました。雫のなかに、花びらが見えます。その花びらからも、雫が落ちているのかな。わずか数ミリの、鏡の国。

shizuku_reflection1


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2006/10/29 (Sun) やさしいボストン
満員電車で知らないひとの背中に押しつけられたり、すきなひとに背伸びしないとキスできないのがいやで、ここ数年ヒールの高い靴ばかりはいていました。でも、それも今日限り。しばらくローヒール派になります。原因は、夏の捻挫です。雨に濡れた駅のホームで滑って転び、足首を捻挫したのにもかかわらず、ひと夏ハイヒールのサンダルでがんがん歩き回ったら、腰にきてしまいました。人生ではじめての腰痛。20代で
鍼灸院通いは、さすがに避けたいです。渋谷でクラークスビルケンシュトックを買いました。

画像はビルケンシュトックの代名詞、ボストン。今日のスタイルはジャケットとニットとハーフパンツ。履いて帰りますとお店を出たときには、1920年代パリの新聞配達の少年のような姿でした。今年のトレンドはレディーライク、クラシックでエレガントで、ちょっとゴージャスな女らしいスタイルが人気だそうです。…クラシックだけはカバーできているから(たぶん)、よしとする?

birkenstock

2006/10/28 (Sat) チキンとチキン
やきとり猫チキンとやきとりを買い食いしました。私はお腹はすいていなかったのですが、やきとり屋台の足元に、お店のひとに見つからないようにこっそり、でも物欲しそうな顔で座っていたチキンを、そのままにはしておけませんでした。レバーを2串買って、紙袋に入れてもらっているあいだ、「チキン、路地。路地。先に行ってて」と下を向いてこそこそ話していたら、お店のひとに変な顔をされてしまいました。でも、はひゅはふゅいいながら食べるやきとり、おいしかったね、チキン。

画像はともだちがくれたカーネーション。しおれてきたので水切りをして、コーヒーカップに挿しなおしただけなのに、急に私っぽくなったような気がします。お花は活けるひとの趣味がでますね。たのしいな。

carnation_inacup

2006/10/28 (Sat) おばけとジャック、遥かなる道のり
週末はカメラを持っておでかけをしようとおもっていましたが、疲れてふらふら、動けません。そんなときには、おうちでゆっくり、お料理でもするに限ります。夏のあいだ、暑さに負けてお休みしていたホットケーキづくりをしました。ついでにあまった小麦粉とバターで、ちっちゃいスコーンも焼きました。おばけ(プレーン)と、ジャック(かぼちゃ入り)。おうちにあったチョコペンで顔もかいてみましたが、顔をかくならかぼちゃの皮はとったほうが良かったかも。

それにしても、見れば見るほど不揃いな…。お料理だとあまり目立たないのですが、お菓子は不器用さが際立ちますね。nagさんのようなお菓子を焼くのが夢なのですが、道のりはものすごく遠そう。

halloween_cookies

2006/10/27 (Fri) エンゼル
疲れて憂鬱なときには、気持ちよく寝たまま、明日が来なくてもいいや、なんてことを考えたりもします。そういうときに限って、おやつのチョコボールに銀のエンゼルが現れたりします。すぐにけりのつく金ではないところが天の配在、小さな憂鬱にちょうど見合う量の、小さなエンターテインメントを受け取っています。明日もちゃんと生きます、いつかおもちゃの缶詰を手に入れるためにもね。ありがとう、エンゼル。

angel

2006/10/26 (Thu) きみの場所
ようやくシェルフの設置と衣替えとお掃除が終わりました。あるべきものが、あるべきところにあります。モンステラさんにも居場所ができました。ほ。

毎日一生懸命お仕事をして、帰ってきてはお掃除をしていたので、今週はへにょへにょ。昨日も、明かりをつけ、10年ぶりに読み返している『アクロイド殺人事件』に指を挟んだまま眠ってしまいました。危なくないように、熱くならないタイプの照明に変えたのですが、モンステラさん、まぶしくて眠れなかったかもしれない。今日はちゃんと明かりを消して寝ます。おやすみなさい。

monster_atlight

2006/10/24 (Tue) きいろいあさごはん
中途半端な時間に目が覚めてしまったので、お仕事に行く前にちょっとお散歩。朝ごはんを食べている蝶をみました。目がくるくる、くちもくるくる、よく見るとおもしろい顔です。おいしい?

seitaka_butterfly

2006/10/23 (Mon) 四次元シェルフ
ものの少ない生活がすきで、家具はベッドと小さな箪笥とコーヒーテーブルだけで暮らしてきましたが、ついにシェルフを買いました。そのままさくっと置いてしまえば良かったのに、欲を出して衣替えと大掃除を始めたら、文字通り足の踏み場もありません。ご飯はベッドの上に正座して食べ、バスルームへは壁伝いに爪先立ちして歩いています。これだからものの少ない暮らしのほうがすきなんですよね。無限の四次元につながっていて、でもほしいものがすぐに手に吸いついて来る、ドラえもんのポケットのようなクローゼットがほしい…。

画像は会社のひとにもらったドイツ製のハニーティー。はちみつの香りがついているだけのお茶かとおもって飲んだら、くちの中にはちみつの甘みが広がってびっくりしました。はちみつの粉が入っているのかな。たのしい!

te_con_miel


2006/10/22 (Sun) ふらりIKEA港北
IKEA港北に行きました。シンプルで安い北欧ふうの家具やさんで、日本では船橋に次いで2つめの店舗。9月にオープンしたてです。日本離れしたお店でした。店舗面積は40,000㎡、車から見たときに建物の端っこが見えません。店内で行き倒れになると困るので、入口脇の食料品売り場で、ともだちはニワトコの花のジュース、私はコケモモのジュースを飲み、まずは栄養補給。ほしいものを書き留める紙と小さな鉛筆、メジャーを持ち、ショールームスペースへ向かいます。

elderflower


階段の上で最初に出迎えてくれたのは、たくさんのヘビさん。…かわいいと言って良いものか微妙なラインです。さらに頭上にはカエルさん。王冠をかぶっています。口にファスナーがついていて、宝物や点数の悪いテストを隠せるようになっています。口の中にはハエが止まっています。うまくできています。しかし、これもかわいいかと言われると微妙。

plush_snakes


plush_frogs


ベッドスプレッド、カーテン、テーブルランプを見て歩き、くたびれて入ったカフェテラスで、軽食をとりました。スウェーデン風ミートボールにかかっているソースが泣かせます。欧米で暮らしたひとならきっと食べたことのある、グレイビィソースとベリーソースです。プリンセスタルトも、甘さにパンチが利いてます。どちらも懐かしい味でした。

meatballs


princesstart


冒険の最後は、ずらりと並んだキャッシャー。大荷物を抱えて少しお疲れ顔のひとたちが列をつくり、日本語と英語の店内アナウンスが響き、ときどき電光掲示板に数字がきらめいて、空港の入国審査ゲートみたいな雰囲気でした。小さな男の子が、少し眠そうな目でお父さんに抱っこされていました。おうちから1時間もかからない、海外旅行。わくわくしました。次はホットドッグを食べにいくね、IKEA港北。ばいばい。

2006/10/21 (Sat) コアラの木
朝早く目が覚めたので、近くの公園にお散歩に行きました。道端のはこべを撮っていたら、声をかけられました。「何かいいもの撮れますか」。そのひとの手にも、デジタルカメラ。公園での良い撮影ポイントを教えていただいたり、愛機のファインダーを覗かせていただいたりしました。彼に聞いた「コアラの木」、いつか見つけてみたいものです。

画像はともだちがくれたお花。自分でアレンジしたそうです。すごいね!

bouquet

2006/10/18 (Wed) 以上の成績を収め
お仕事で賞状を印刷しました。賞状なんて見るのも久々なので、どんな文面だったかうろ覚え。頭をひねりながら1枚試しに印刷して、上司に見せてみました。「うーん。『以上の成績を収め』じゃなくて、『以上の成績を修め』じゃなかったっけ」。修正して、上司の上司にも見せてみました。「うーん。縦書きなんだから、『以上』じゃないんじゃない?でも、『右の成績を修め』って聞かないね」。

日本書技研究所『表彰状作成のマナー』によると、正しくは「当初の成績を収め」だそうです。社印は本文より下に押しちゃダメなんだそうです。間違えたら気づくひといるのかな、これ…?

画像は、お花やさんの犬。夜間撮影したまま設定を戻し忘れて撮ったら、色がケミカル。慌ててまた撮りに戻ったら、いなくなっていました。彼はまともに撮らせてもらえたことがありません。ほんとうに犬なんでしょうか。

fairydog2


2006/10/17 (Tue) 帰らないで
11時過ぎまで残業をして帰ろうとしたら、フロアの奥から声がかかりました。「はなびさん、帰らないで!ひとりにしないで。あと5分で終わるから、お願い一緒に帰ろう」。父ほどにも歳の離れた男性ですが、そんなに淋しがりやさんだったとは。

いわれるままに5分待っていたら、鞄のふたをしめながらあたふたと駆け寄る彼。「ごめんねえ、フロアに鍵かける方法忘れちゃったんだ。開けっ放しで帰るわけにいかないから」。私の会社では、フロアごとに、最後まで残ったひとがドアのロックを施錠していくことになっているのです。こんな方法、覚えなくてすむに越したことはないんですが、なかなか忘れられない私です…。

画像は、コンクリートの前で揺れるアイビー。ポスターカラーで描いた絵みたい。

ivy_ongray


2006/10/16 (Mon) おはようの代わりに
会社にフランス人のインターンがいます。日本オタクが高じて日本に研修に来てしまったお兄さんです。出社したらドアの前ではちあわせし、おはようございますと言おうかGood morningと言おうか一瞬迷ったら、彼のほうから一言。
 「ステキネ」
コインのようにくるりと体を1回転させて、ドアを開けてくれました。くちびるまで出かかっていたおはようもGood morningもひっこんでしまい、ありがとう、とだけ日本語で返しました。朝っぱらからフランス男全開だなあ。まさか誰かGood morningは日本語でステキネと言うのだと、教えこんでいたりして。それはそれでステキネ。

画像は、色づき始めたナンキンハギ。離れて見ると、赤いハートが見えます。

heart_leaf


2006/10/15 (Sun) 秋の夜長キット
実家のクローゼットをごそごそしていたら、たのしいものを見つけました。ステッドラーの水彩色鉛筆と、ホルベインの透明水彩絵の具。どちらも子どもの頃に買い与えられたものですが、良いものだから大切に使いなさいと言い含められたため、ほとんど減っていません。色がたくさん揃ってきれい。ボール紙の箱に詰めて、いまのおうちに連れてくることにしました。秋の夜長のお遊びキット、使うのがたのしみ。

colored_pencils


2006/10/15 (Sun) はなび植物園、その後
またルームメイトが増えました。お部屋の中にはモンステラさん。モンステラはラテン語で怪物という意味だそうです。葉っぱに怪物にかみ切られたかのような深い切り込みがあり、とてもモダンな感じのする観用植物です。お部屋の外にはローズマリー。そこにあるだけで、水にインクを落としたように香りの広がるハーブです。毎日光の当たる場所に移動させたり、お水をあげたり、話しかけたりしています。毎日小さな葉が伸びたり、緑が濃くなったりしています。

数か月前までは、疲れはてて、明日なんて来ずにずっと眠ったままでいられればいい、他のいのちに責任なんて持てないと、お部屋に切り花を飾ることすら止めていました。でも、いまは朝起きて、たくさんの植物におはようをいうのが楽しみになりました。彼らは枯れるためではなく、伸びるためにいきているから。光も雨も受け入れ、根をはり空を向いて、すくすくといきているから。植物を育てているのではなく、植物に育てられているのだとおもいます。

いま、モンステラさんはこよりのようにくるくる丸まった若い葉っぱをつけています。昨日はきゅっと固かった結び目が、今日は心なしかゆるみました。明日は葉っぱの端っこが見られるかも。楽しみ、たのしみ。

画像はお花やさんの前で、出番待ちをしていたスター。

monkey


2006/10/14 (Sat) 威風堂々
トフィーは非常に静かな犬で、よほどのことがないと吠えません。それでも小さいときはちょろちょろと走り回っていたのですが、最近は寝てばかり。廊下の真ん中にででーんと広がって、家族が上をまたいで歩いても動じません。その姿は、カーペットさながら。

そのおかげで、先日、両親が旅行のためにトフィーを動物病院に預けたときにも、「この子に何かあっても静かすぎて気付かないかも」と、先生が自宅まで連れ帰って下さったそうです。先生のおうちでは、ついに一度も吠えないままだったそうです。それでいて、ご飯は先生の手からしか食べない、お水はいつも使っているお皿がいいと目で主張したのだとか。母が迎えに行ったときには、あだながついていました。「殿」。以後、定期検診でも先生に「トフィー様、心臓の音きかせてね~」と、様付けで話しかけられているそうです。

犬は飼い主に似るといいます。いろんなひとに姫と呼ばれる私も、傍から見るとこんな感じなのかな…。

toffee_carpet

2006/10/13 (Fri) 「ちょっとピンぼけ」
彼は携帯食料で私を慰めてくれた。見ただけで少しおそれいるようなシチュウをつつこうとした、ちょうどそのとき、砲弾がヒューと鳴った。肉や豆を身体いちめんにひっかけながら、私は地面にパタリと身を投げた。

そのドイツ砲弾はうまくはずれて二、三百ヤードはなれた地面に落ちた。私が顔を上げると、中尉は―彼は身動ぎもしなかった―私を見下ろしていた。彼は乙にすましていた。

たいへんばつの悪い思いで私は立ち上がると、豆を払いのけ、私の見方からすれば、この戦争は年増女優のようなものだ、危険になればなるほど、次第に写真面が悪くなってくる、と言った。
―ロバート・キャパ『ちょっとピンぼけ』


世界でいちばん有名な写真家のひとり、ロバート・キャパの本を読んでいます。写真の印象のとおりの文章を書くひとです。強く真摯でひたむきでありながら、人間的な揺らぎとウィットがあります。

不便な人生を歩んだのだろうとおもいます。いかにもアメリカ人らしい名前を名乗り、住む国を何回も奪われ、仕事も何回も失い、最愛の恋人を戦争でなくし、日々のパンのためにカメラさえも手放し…。でも、彼は撮っている。撮らざるを得なかったのだとおもいます。おそらく特種を撮り、伝え、認められることでしか、生きられなかったから。

1954年、マグナムの代表として日本を訪れたロバート・キャパは、ここはピクトリアル・パラダイスだ、撮るものに困らない、と目を輝かせたといいます。その直後、ライフ誌の要請でベトナム戦争に撮影に赴いた彼は、そのまま地雷に斃れ、帰らぬひとになりました。

キャパが見た日本はもう残っていないかもしれないけれど、日本はまだピクトリアル・パラダイスだとおもいます。

画像はススキ。久々に白黒で。

susuki

2006/10/12 (Thu) 音のいろ
会議でドラムロールとファンファーレがどうしても必要になり、TSUTAYAに駆け込みました。効果音のCDなんて大してないだろうとおもっていたら、たくさんあるものですね。「サスペンス・スリル篇」「自然音篇」というような比較的一般的なものから「読者からのお便り~マヌケな話」なんてものまでありました。これぞマヌケと認められたお便りに、これぞマヌケと認められた音がつけられ、聞いたひとたちがマヌケだなあと感じるのだとおもうと、楽しいような、切ないような。

会議のためには「運動会篇」を借りました。ドラムロールが4種類、ファンファーレが2種類、「天国と地獄」や「君が代」まで入った優れものです。これで万が一取締役が会議中に徒競走や玉入れをしたくなっても(音は)大丈夫。その他もうまくいきますように。

画像はなんだか食べたら甘そうな金木犀。もうちょっと奥までしっかり映したかったんですが、風が強くてこれが限界。

kinmokusei


2006/10/11 (Wed) それでも彼女は
昨日、お仕事からの帰り際、エレベーターホールから外を見たら、東京タワーに月がかかっていました。…ああ、カメラがあれば。今日、駅からの帰り道、やきとりだいすき猫、チキンに「何かくれ」とねだられました。…ああ、煮干があれば。

最近忘れものが多くて困ります。原因はたぶん、風邪やら何やらで、1日に飲むお薬が計20錠に増えたからです。風邪でぼんやりするより先に、お薬でぼんやりしてしまうよ。折りよくいつも行っている病院に予約を入れていたので、お薬が減らせないか相談しようとおもったら、「予約がありませんが…」と受付の看護婦さん。「でも、確かに診察券の裏に10月11日と書いてあるんですが」と言ったら、「そのご予約は去年のものです」と。確かに予約を取ったはずなんですが…夢を見ていたのかなあ。

ぼんやりしすぎて病院でも診察してもらえないていたらくですが、とりあえずかばんにカメラと煮干をいれました。これでチキンがきても、テンイチ、テンニがきても、ヤンキーがきても、サタデーがきても、ガブリンがきてもだいじょうぶ。

私がぼんやりしすぎて車にぶつかって死ぬようなことがあったら、お葬式のスピーチではこういってください。

「それでも彼女は、カメラと煮干を放しませんでした…」

画像はおねだりチキン。んー、ピントもぼんやり。

chiken

2006/10/09 (Mon) 菊と鼓
枕の要文、疑いなく。具一切功徳、慈眼視衆生。福寿海無量、是故応頂礼。この妙文の菊の葉に。置くしただりや露の身の。不老不死の薬となりて。七百歳を送りぬる。汲む人も汲まざるも。延ぶるや千歳なるらん。面白の遊舞やな。
―『枕慈童』


十八夜の月のした、明治神宮で薪能を観ました。能も狂言もまったく知りませんが、じっと聴いているとことばが拾えるようになってきます。最初の演目の「髭櫓」は、立派なおひげが自慢の男のひとを題材にした狂言。おひげの立派さが認められて、宮中の大切な行事「大嘗会」で大役を仰せつかったものの、衣装は自腹。生活費もままならないのに衣装なんて作ってられますか、そんなおひげがあるからいけないのよ、いまいましい、ぬいてしまえ、と息まく奥さんとの仁義なき戦いが描かれています。笑えます。

次の「枕慈童」は、菊の花が秋らしい能。王の枕をまたいだ罪で山奥に流刑になった少年が、その身を哀れんだ王に法華経のことばを書いた枕を与えられます。そのことばを菊の葉に写したところ、菊の葉にやどった露が不老不死の妙薬となり、少年は700年の老いぬいのちを得たのでした…という、文章で要約すると訳のわからないお話です。が、舞が多く、見ている分にはとてもきれいです。白い能面をつけたシテ(慈童役)が人間離れしていて、ビスクドールのように見えます。両手に菊花を持ち、笛や鼓にあわせて、とん、とんと足を踏みならす様子も艶やか。明治神宮の千年の杜に月の光が落ち、燃えた薪の灰が粉雪のように舞い散る中の能、ちょっと煙たかったけれど、豊かな時間を過ごしました。秋の夜はいいね。

takiginou

2006/10/09 (Mon) 月の池
三脚がほしかったのは、お花や猫さんのためではありません。ずっとお天気が悪くて撮れなかったけれど、ようやく撮れました。念願の、月。興奮さめやらず、「三脚を使うと月の池まで撮れるんだよ」とともだちに自慢したら、「それは月の海」と冷静につっこみをいれられました。つっこまれてもうれしい。

ほんとうは下の記事に一緒に載せてしまうつもりだったんですが、東儀さんのアタマが重そうだったので、別記事にしました。こんな月のした、音を聴いたんですよ。しあわせでしょ。これを読んでいるみなさんの夜も、きれいでしあわせでありますように。おやすみなさい。

fullmoon

2006/10/08 (Sun) 月とうた
Imagine there's no heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today....
―John Lennon "Imagine"


特にこれといった理由はないのですが、何日か前から、誰かに歌をうたってもらいたいきぶんでした。できればあまり低くない男のひとの声で、あまい歌を。とりあえず家にあるCDをひっくりかえして、そんな感じのものがないか探してみたのですが、ないんですよね、これが。女のひとのあまい歌とか、男のひとの渋いチェロとかはあるんですが、男のひとのあまいうたは、もともとほとんど持っていない上に、持っているものもケースだけになっていました。いったいどこに置いちゃったの。

いっそ男ともだちに電話をかけて、うたってと頼もうかともおもったのですが、理由をいわないと心配されそうな気がします。理由、ほんとうにないのに。そんなわけで、うたってほしいよう、というもやもやした気持ちのまま過ごすこと、数日。救いの手は、思いもかけないところから現れました。

ふらっと立ち寄った自由が丘。今日から始まった「女神祭り」のオープニングイベントで、地元在住の雅楽師、東儀秀樹さんが、うたっていました。あまめのテノールで、私のすきな"Imagine"を。

うたうひとだなんて、知りませんでした。もちろん歌だけではなくて、篳篥や笙も吹いてくれました。さざなみのように雲の流れる満月のした、ゆるゆる響く日本の楽器の音色、とても贅沢でした。

うたってほしいなあとおもっていれば、誰かがうたってくれる。毎日いろんなひとやものにあまやかされちゃって、うれしいな。こころがほかほかします。ありがとう。

tougisan_atlive

2006/10/07 (Sat) ふらりズーラシア
最近近所の猫さんばかり撮っているので、たまにはもっと大っきい猫さんも見ようと、ズーラシアに行ってきました。

仲の良さそうな象さんを横目に、猫さんへまっしぐら。いました。アムールトラ。世界でいちばん大きく、世界でいちばんかっこいい猫さんです。大人のオスは最大で体長3.3m、体重300kg。ライオンを軽く超えます。

zoo_zou


zoo_tiger


トラさんの隣の隣は、レッサーパンダさんたち。笹を片手に、くらくらするようなスマイルをくれました。

zoo_lesser


もう少し進むと、ホッキョクグマがいます。陸上でいちばん大きな肉食動物であり、世界でいちばんかっこいい熊さんです。ズーラシアにいるジャンブイくんは、知るひとぞ知る「首をふり、ムーンウォークするホッキョクグマ」。私が見ていたときも、3歩下がっては首をふり、3歩下がっては首をふり、をずっとくりかえしていました。写真はちょっと疲れて舌を出したところ。へんなストレスたまってないといいね、気楽にいこうね、ジャンブイくん。

zoo_shirokuma


さらに進むと、オセアニアゾーン。腰が痛そうなカンガルーさんと、腰が低そうなカンガルーさんがいました。カンガルーはしぐさがだいすき。

zoo_kanga1


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最後は今年の8月2日に生まれたばかりのオカピの赤ちゃん。目の上の模様が、きりっとしたマユゲに見えて、ちょっとりりしいです。明日、命名式だそうです。どんな名前をつけてもらえるのか、楽しみだね。

zoo_okapi


今日ここに載せたいきものは、ほとんどがレッドリスト(絶滅のおそれがある希少動物のリスト)に載せられています。たとえば、アムールトラはいま世界で500頭ほどが残るのみで、「野生のものは絶滅」の1歩手前の「近絶滅亜種」になっています。風太くんで一躍有名になったレッサーパンダも、その次の段階の「絶滅危惧種」です。ホッキョクグマは地球温暖化の影響もあり、今年かレッドリストに載ってしまいました。こんなにきれいないきものたちが、動物園や、本や映像の中でしか見られなくなるのは、とても悲しいことです。知ることで変えられる未来もあります。詳しく知りたい方、何かをしたい方は、こちらからどうぞ。

2006/10/06 (Fri) 西のどん兵衛、その後
嵐を背負ってともだちが遊びにきてくれたので、元・同僚からいただいた、秘蔵のどん兵衛のテイスティングをしました。向かって左が関東、左が関西のどん兵衛です。写真だと多少見にくいですが、つゆの色の違い、分かりますか?関東は鰹だしベースに濃口醤油、塩味も甘味もくっきりしていて、おあげもきりりと主張のある甘辛味。関西は鰹と昆布のブレンドだしをベースに薄口醤油、全体的に優しい味わいで、おあげも甘めです。ふたの裏に書いてあった情報によると、味の境目は関が原。日清のひとが新幹線こだま号に乗り、駅をひとつずつ降りながら現地のおそば屋さんで試食して、味の境目を決めたそうです。

私になじみ深いのは、関西のほう。関東のものは、おそらく最後まで食べ切れません。関西で暮らしたことは一度もないのですが、キッチンには薄口醤油しかなく、お味噌汁も昆布だし、いりこだしが好みです。自分の中の関西の血を自覚した夜でした。

ちなみに、「関東」「関西」は、ふたを見れば分かるようです。ふたの一番下のところが、「薫る鰹だしに新もち太めん」となっているのが関東、「薫る鰹・昆布だしに新もち太めん」が関西です。私の住んでいるエリアはどっちだろう、とお悩みの方は、チェックしてみてくださいね。

donbei


2006/10/04 (Wed) スタイル
スタイルやテーマを持った写真をみると、とても憧れます。でも、いまの私には早すぎるとおもっています。いまは、いろんなものを、いろんなふうに撮って遊ぶ時期。例えば、同じお花を撮るにしても。

ほんのり図鑑風味、とか。
kikyo


どことなくポスター風味、とか。
cosmos_black


やや報道写真風味、とか。(キャプションは「タンポポ危機一髪」で)
tanpopo_accident


楽しいです。Kissにものを見る視点を増やしてもらっています。ただ、こういう撮り方をしていると、とりとめのない写真ばかりになってしまって、オンラインアルバム用の編集が遅々として進みません。もうちょっと、これが撮りたい、とか、こんな感じの写真にしたい、と決めて撮ったほうが良いのかな。

2006/10/03 (Tue) さみしいスイッチ
私のからだには、たぶんスイッチがついているんだとおもいます。突然、かちっと音がするくらい、はっきりと光が消えてしまうことがあります。昨日の夜、それでした。

しかたないので、駅前のコンビニまで歩いて、牛乳とさくさくパンダを買ってきました。夜の2時過ぎでも、町の窓にはところどころ明かりがついていて、ああ、ひとが生きてる、と。少し安心しました。

大学の寮に住んでいた頃は、よくパジャマの上にコートをはおり、深夜のお散歩をしました。空に星が見えて、芝生がしっとりと濡れていて、遠くに逃げるたぬきがいて、そして、広い敷地の中に必ずいくつかは夜更かしの窓があって、ああ、世界は生きてる、と。少し安心しました。

こんなに不自由なにんげんのからだではなくて、透明な風のようになれたら、もっともっと、どんな時間でも、どんな場所にもいけるのにね。

画像は、やっぱりちょっと不自由そうな犬さん。

dog_behind

2006/10/02 (Mon) はめべた
私が小さかった頃、母は、来る日も来る日も丸い穴のあいたブロックに四角いブロックを押し込む私の姿を見て、「この子アタマだいじょうぶかしら」と真剣に悩んだといいます。

三つ子の魂百まで。いまだにハメられません。今日はキッチンの蛍光灯が切れたのをとりかえようとおもってあれこれ引っぱっているうちに、蛍光灯のフードまでアタマの上に落ちてきてしまい、築20年分くらいのホコリが舞い落ち、何というか取り返しのつかない感じになっています。1時間もかけて(!)がんばってみたのですが、ちっともハマりません。上を見すぎて貧血起こしました。もうムリ。ダメ。はめられない。

思い返せば、外れた網戸も、ゆるんだテーブルの足も、ガスがなくなったガスボンベも、ミシンのボビンケースも、誰かにハメてもらってばかりの人生でした。みんながいなかったら、私なんて蚊にくわれて、がたがたのテーブルで、つかないガスボンベと動かないミシンを前にご飯を食べるしかできないのだわ。無力だ。

そんな私を前に、父はむかし、言ったものでした。
「はなび、結婚は蛍光灯をはめてもらうためにするんじゃないんだぞ」。親ってものは。

画像は焼き鳥で一杯やりたい気分な猫さん。分かるよその気持ち。

cat_yakitori

2006/10/01 (Sun) 営業時間、22時迄
実家の母からやたらと電話がかかってきた日でした。

「デジカメの写真をパソコンに入れたいんだけど、どうしたらいいの」
「写真をパソコンに入れたんだけど、どこに入ったか分からないのよ」
「写真をCDに保存したいんだけど、どうしたらいいの」
「CDがいっぱいになっちゃったのよ。これ、ちゃんと保存できてるの」
「写真をワードにはりつけたいのよ。どうしたらいいの」
「はなびは簡単そうにしてたじゃない、どうしてこんなにややこしいの」
「切子硝子のお醤油さしもらったんだけど、いる?」

聞きたいことだけ聞いて、話したいことだけ話して切ってしまうので、7回も電話がかかってきたのに、ついに「風邪薬飲んで寝てるから起こさないで」と伝えられずじまいでした。6回も起こされてしまいました。変な夢を見すぎて、変な夢図書館が開業できそう。

画像は母のかわりに1回だけ私を起こした、近所のお神輿。

omikoshi

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はなび

Author:はなび
犬、紅茶、写真、美術館、お風呂、本、日本語がだいすき。2006年3月から、EOS Kiss DNと一緒にたのしくお散歩をしています。文章と写真は関係がないことが多いです。写真だけをまとめてご覧になりたい方は、hanabi days on flickrへもどうぞ。

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