2017・06

<< 05 1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/ 07 >>

--/--/-- (--) スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2006/04/30 (Sun) 「少々おむづかりのご様子」
ある夏の日、鈴木さんが学校から帰るとき、後をつけて、気付かれないように、気付かれないようにとブロック塀の陰に隠れ、そっとそのブロック塀に両手を添えて、その陰から鈴木さんの後姿を見つめる。そして、『フニクリフニクラ』を大声で唄って、鈴木さんが振り向くか振り向かないかでスッと隠れる。隠れて、ふとブロック塀に自分の両手が添えられていることに気付く。ザラザラしているブロック塀の感触が手のひらに伝わってきて、自分だけの世界に入る。親指を立てて、もう一度ブロック塀を親指の先でこすってみる。ザラザラしていると感じて、そして口に出してシリアスに、「ザラザラしている」と言ってみる。その言葉が意味に伝わってくる。またブロック塀の陰から覗くと、鈴木さんの姿は坂道を小さくなって登って、もう少しで見えなくなってしまう。ゆっくり姿を出し、ブロック塀に沿って歩き出す、鈴木さんの姿を見失うまいと。手を伸ばし、指先でブロック塀をさわりながら・・・。ああ、頭の中がデタラメになってきた。
―竹中直人『少々おむづかりのご様子』


竹中直人のエッセー集を読んでいます。私は、竹中直人と聞くと、真っ先に『Shall We Dance?』に出てきた、会社の廊下を直角にきゅっと曲がってしまうひとを思い出します。つまり、俳優としての彼。だから、本当のことをいうと、文章にはあまり期待していませんでした。

でも、さすが映画を撮るだけのことはありますね。作家のような”こなれた”文章ではありませんが、ときどき映画の1シーンのような表現が出てきます。それがまた、ペーソスに溢れていて、可笑しいのに、哀しい。「悲しい」文章はテクニックがあれば書けますが、「哀しい」文章は経験がないと書けません。本当は芸達者で、賢いひとでなければ、道化はできないんです。

残念だったのは、作中に出てくる映画をあまり知らなかったこと。映画について、あるいは俳優について熱く語るエッセーが多いので、映画をもっと良く知っていたら、もっと楽しく読めたのではないかとおもいます。とりあえず、竹中氏が情熱をもって勧めていた『仕立て屋の恋』を近いうちに観てみる予定です。その感想は後日またここで。

comment









ブログ管理人にのみ表示を許可する


trackback

trackback_url
http://roverandom.blog52.fc2.com/tb.php/105-ccaab432

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

profile

はなび

Author:はなび
犬、紅茶、写真、美術館、お風呂、本、日本語がだいすき。2006年3月から、EOS Kiss DNと一緒にたのしくお散歩をしています。文章と写真は関係がないことが多いです。写真だけをまとめてご覧になりたい方は、hanabi days on flickrへもどうぞ。

ブログ、flickrに掲載されている画像の無断転載はご遠慮下さい。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する



www.flickr.com
This is a Flickr badge showing public photos from hanabi.. Make your own badge here.

ブログ内検索

PopupFlickr Plus

Flickr

選択ワード機能:
developed by 遊ぶブログ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。