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2009/01/16 (Fri) 前略、ゼンマイは元気ですか
「はなび宛ての年賀状が紛れこんでいたよ」と実家から電話を受けました。すごく達筆なひと、といって母が読み上げた名前は、18歳の頃に一度講義を受けたきりの、大学の教授でした。

そのひとは植物の気孔の権威。ふだんは生物学専攻の3、4年生を教えていらっしゃいました。からだが弱く、階段教室での講義は無理だといっておられましたが、私が入学した年の春、初めて一般教養の講義を担当されました。講義の最初には、いつも白い紙が配られました。「みなさんが教室に来るとき、理学棟の入口にゼンマイが生えているのに気づきましたか。私はこれから講義でいろいろなことを話すけれど、せっかく身近なところに植物があるのだから、自然からも学んでいただきたいとおもいます。毎週ここに来るときにゼンマイを見て、気付いたことがあれば紙に書いてください。他に考えたことや質問があれば、何でもいいから書いてください」―たしか、そう言われた記憶があります。

それから毎週、白い紙にいろいろなことを書きました。ゼンマイの先っぽが丸まっていました。緑が濃くなってきたようです。よく見ると毛が生えているのと生えていないのがありました。そういえば今年の桜は去年より色が淡いように感じますが、なぜですか。そもそも桜はどうして桜いろなんですか。

―そうして私が他愛もない発見や疑問を書き綴り、先生が赤で回答を書きこんで返してくださる日々が過ぎたある日、理学棟のゼンマイはわずかを残して姿を消しました。虫に食べられて。講義の最初に「毎年そうなんです」と淡々と話した先生に、ともだちはすっかり怒っていましたが、私はすごいとおもいました。なぜゼンマイは食べられることを知りながら、毎年同じ場所にすくすくと伸びるのか。

私のシャープペンシルと先生の赤ペンのやり取りは少しずつ文字数を増やしながら、桜の葉が濃い影を落とす頃まで続きました。その後、キャンパスで行き違えば会釈はしたけれど、一度も講義を受けたことはありません。でも、その1学期のことは奇妙に鮮烈に記憶に残っていて、カメラのファインダー越しに小さな花や草を覗いたときに、あのゼンマイのことを、ふと思い出したりします。

先生にはお返事の手紙を書いています。決してそんなことはないと分かっているのですが、私が出した手紙の余白に、赤い字でコメントが添えられて送り返されてきたらいいな、とおもいながら。

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はなび

Author:はなび
犬、紅茶、写真、美術館、お風呂、本、日本語がだいすき。2006年3月から、EOS Kiss DNと一緒にたのしくお散歩をしています。文章と写真は関係がないことが多いです。写真だけをまとめてご覧になりたい方は、hanabi days on flickrへもどうぞ。

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