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2006/04/19 (Wed) 「蛇にピアス」「蹴りたい背中」
「何やってんだよばかやろー」
 絞り出すように言った私の言葉は、自分でも驚くくらい情けなかった。アマは私の隣にしゃがみこむと血まみれの右手を出し、こぶしを開いた。そこには一センチ程の赤い物体が二つ。すぐに、あの男の歯だと分かった。背中に一滴冷水を垂らされたような感覚が、私の全身の毛という毛を逆立てた。
 「ルイの仇、取ってやった」
-金谷ひとみ『蛇にピアス』



頭の尾っぽを振りながら、絹代は机を囲んで大騒ぎしている雑草の束のもとへ走っていく。どうしてそんなに薄まりがるんだろう。同じ溶液に浸かってぐったり安心して、他人と飽和することは、そんなに心地よいもんなんだろうか。私は、余りものも嫌だけど、グループはもっと嫌だ。できた瞬間から繕わなければいけない、不毛なものだから。
-綿谷りさ『蹴りたい背中』



今更ですが、第190回芥川賞受賞作品2作を読んでいます。

1冊めは金谷ひとみ著『蛇にピアス』。蛇のように先が2つに分かれた舌をスプリット・タンというそうです。舌にピアスを空け、少しずつ穴を広げ、最後に残った所を切るのだそうです。『蛇にピアス』は、主人公の「ルイ」がスプリット・タンを持つ「アマ」に出会うところから始まります。全編を通じてボディピアスやタトゥー、SMと肉体的に痛そうな話が続きますが、そういったディーテイルを除けば、テーマも人物もストーリー展開も、ごくノーマル。すいすい読めます。似ている、といわれた村上龍著『限りなく透明に近いブルー』よりも読みやすいようにおもいます。この作品のテーマは…とか、現代社会の病理が…なんてややこしいことを考えたくない方は、ひとつのラブストーリーとして読んでみてください。


2冊めは綿谷りさ『蹴りたい背中』。センセーショナルなディーテイルがいっぱいの『蛇にピアス』とは対照的に、限りなく普通な描写が続きます。生物室の水槽の藻の匂い。プロジェクターの光に浮かぶ埃。水着に着替えるときに使う、輪っかになったバスタオル。プラスチックのお弁当箱。誰でも簡単に共感できるであろう、普通の時間が流れています。でも、だからこそリアルな不快感がある。主人公「ハツ」の疎外感や、孤独さ、サディスティックな衝動に、プールの塩素くさい水をたくさん飲んでしまった後のような不快感を感じました。どんな学生生活を送ったかで受け取る印象は違うかも。ともだちにも感想を聞いてみたくなる作品です。

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はなび

Author:はなび
犬、紅茶、写真、美術館、お風呂、本、日本語がだいすき。2006年3月から、EOS Kiss DNと一緒にたのしくお散歩をしています。文章と写真は関係がないことが多いです。写真だけをまとめてご覧になりたい方は、hanabi days on flickrへもどうぞ。

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