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2006/04/25 (Tue) 「負け犬の遠吠え」
和風であれ、踊りであれ、旅であれ、手芸であれ。それぞれのアディクション症状からは、それぞれ違った臭いのイヤ汁が出ています。和風趣味に走った負け犬の、イマイチ趣味の良くない安手の着物をゆるい着付けで着ている姿から垂れる、ちょっと貧乏臭いイヤ汁。相手が講談師であろうと香港映画スターであろうと、おっかけに熱中する人からしたたる、モテなかった過去というものが煮詰まってできたようなイヤ汁。舞踏アディクションの人は汗と共にイヤ汁をも流し、旅行アディクションの人は行く先々で旅のイヤ汁をかき捨てる。そして手芸アディクションの人は、ひと針ひと針、イヤ汁のステッチを布の上に残していくのです。
―酒井順子著『負け犬の遠吠え』


一時期社会現象になった『負け犬の遠吠え』を読んでいます。面白いです。ものの分類とネーミングが、とにかく巧い。「勝ち犬」「負け犬」という言葉ばかりが知られていますが、他にも「あるある!それだよ!」とすっきり納得できる表現でいっぱいなのです。

例えば、冒頭の「イヤ汁」。著者によれば「未婚のまま生腐りしていきそうな女性たちからしたたり落ちるかに見える、イヤーな汁」の意だそうです。これは、言い得て妙。確かに、何かに没頭して何かをしたたらせている人、いますね。私も、道端に座り込んで写真を撮っているときや、本屋さんで本を漁ったりしているときに、きっとしたたらせているじはず。このブログだって、イヤ汁を煮詰めたインクで書きつづっているようなものかも。うーん、イヤ!

でも、酒井氏のほんとうの巧さは、観察の鋭さやネーミングセンスではなく、誰も敢えて書かなかった「恥ずかしさ」を、すんなり書いて笑いにする表現力だとおもいます。例えば、駅の階段で派手に転んでしまったとき。いちばん悲しいのは、通り過ぎる人たちが「あーあ」という顔をしながら、見て見ぬふりをすることだとおもうのです。いっそ、誰かが笑ってくれたら。誰もがそう感じながら、埃のついてしまったスカートの乱れを直し、散らばったバッグの中身を拾って歩き出す。酒井氏は、こういうときに傍にいて、「なに転んでるの。パンツ見えそうだったよ」と言って笑ってくれる、ともだちのようなものではないかとおもいます。

女性で30代、独身が「恥ずかしい」けれど「誰も笑ってくれない」ことになってしまった時代。それが正しいか、間違えているかは分からないけれど、「恥ずかしい」と感じている人がいる以上、一緒に笑ってくれる人も必要なのではないかとおもいます。30歳、35歳になったらまた読み返したい本です。

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はなび

Author:はなび
犬、紅茶、写真、美術館、お風呂、本、日本語がだいすき。2006年3月から、EOS Kiss DNと一緒にたのしくお散歩をしています。文章と写真は関係がないことが多いです。写真だけをまとめてご覧になりたい方は、hanabi days on flickrへもどうぞ。

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